30 March 2016

Rakugo and Brunch | 落語とブランチ

先週末のこと。
友人に誘われて、桂三輝(かつら・さんしゃいん)の英語落語を聞きに行ってきました。
三輝さんはカナダ出身で、桂文枝の15番目(だったと思う)のお弟子さん。
今はワールド・ツアーの真っ最中で、北米はもとより、ガーナとかスリランカといった国も回っているんだとか。

いやー、笑った笑った。イギリスのスタンダップ・コメディ(漫談?)が好きでよく見てますが、めっちゃ頭使わないと笑えなくて、寛げないのですよ。対して落語は、たとえ英語で演じられていても反射神経で笑えるんですねー。

会場はカムデンにあるライブ・ハウスでした。
お客さんは8割方日本人かな、という感じ。

ちゃんと高座が設えてありました!

前ふり(枕)のネタは、英語と日本語の違いや日本独特の文化・風習。
「ある、ある」な感じで笑えたのですが、これ、日本語がまったく分からない人にとってはどうなんだろう?と思って帰宅後、ツレアイにこのビデオを見せてみました。



結構ニヤニヤしながら観ていて、終わった後「おもしろかった」と。「どうよー!」と、なぜか得意になるワタクシ(笑)

で、演目は2つだったのですが、結構な早口でぱんぱーんと畳みかける感じ。
噺の情景がありありと浮かんできて楽しい♪

三輝さん、なにがスゴイって(いろいろスゴイんだけど)第二言語で笑いが取れること。
どんな面白い話も英語で言った途端に自分でも何が面白いんだかわからなくなるワタクシには、羨ましいことこの上なし。。。

さて。落語が午後からだったので、その前に腹ごしらえ。チョークファームはラウンドハウスのカフェで週末ブランチをいただきました。


 ブランチ・メニューは「パンとペイストリー(お代わり自由)」と「メイン一皿」に「コーヒー/紅茶(お代わり自由)」が付いて14.95 ポンドなり。
さらに、29.95ポンドで「ベリーニ/ブラディ・マリー飲み放題」を付けることができます。周りのテーブルでは、みなさん飲み放題を付けていて、ご機嫌な感じでしたよ。


このペイストリーたち、期待以上に美味しかった!
サクッとしていて、バターの風味も良くて。


メインには、「ポテト・ロスティ、目玉焼き、アボカド+チョリソ」を選択。
卵の黄身がトロットロ。全体的に良い塩梅で美味しくいただきました。
かなりのボリュームで、この後もう少しペイストリーを食べたかったけど入らず。

実はブランチなるものを外でいただくのは、今回が初めて。
ちょっとした非日常感があって良いですねー。


MADE Bar & Kitchen
http://www.roundhouse.org.uk/bars-and-kitchen/made-bar-and-kitchen/
Roundhouse, Chalk Farm Road, London, NW1 8EH
Tel 020 7424 8495
★★★☆☆

19 March 2016

Anomalisa | アノマリサ

Directors: Andrew HaigDuke Johnson, Charlie Kaufman
Writer: Charlie Kaufman
Stars: David Thewlis, Jennifer Jason Leigh, Tom Noonan
2015/USA
★★★★★

『マルコビッチの穴』の脚本で知られるチャーリー・カウフマン。『脳内ニューヨーク』に続く監督第二作『アノマリサ』は、 ストップモーション・アニメーションによる大人のダーク・コメディです。
そう、大人の。お人形さんのあんなリアルなセックス・シーン、初めて見ました。英国では「15歳未満の鑑賞禁止」に指定されています。

この映画、登場する人形たちが、すごーく生々しいのです。皮膚の質感とか。ちゃんと呼吸して、まばたきして。
3Dプリンターで作った膨大な量の顔のパーツを取り替えつつ、1コマ1コマ人形に動きを付けて撮影したそうで、その作業量を思うと気が遠くなります。


で、そのストーリーは、と言いますと、主人公はカスタマー・サービスのハウツー本で成功を収めている作家のマイケル・ストーン。人にやる気を起こさせる本を書いている割に、本人にはやる気も覇気も感じられません。
カリフォルニアで妻と子と暮らすマイケルは講演のため、シンシナティに出張します。
シンシナティは昔の彼女との苦い思い出のある場所。彼女との別れ方に今も悔いを残すマイケルは、思い切って連絡を取るのですが。。。

と、ここからは、相当のネタバレになりますので、この映画を観に行く予定の方はそっとウィンドウをとじてくださいまし。






























さて。他者と上手く関係を結ぶことのできないマイケルは常に寂しさを抱えているのですが、シンシナティのホテルでリサと出会います。他の人とは違うリサ。何より、声が違う!と言うのも、リサの声をジェニファー・ジェイソン・リーが、マイケルの声をデヴィッド・シューリスが演じているのですが、それ以外のキャラクターの声はすべてトム・ヌーナンなのですよ。
わたしは気付かなかったのですが、一緒に観に行ったツレアイによると、マイケルとリサ以外の人形は全部同じ顔だったとか。

2人は惹かれ合い、一夜をともにするわけですが、明けて翌朝、「結局、リサも他の人と同じだった」となっちゃう。ここで、ジェニファー・ジェイソン・リーのリサの声が、だんだんトム・ヌーナンになっていくんですねぇ。で、彼女の元を去るマイケル。ここまで観ると、彼の過去の恋愛パターンが全部こうだったことがわかります。

カリフォルニアに戻ると、マイケルのためのサプライズ・パーティが開かれているのですが、その喧騒の中で、一人、お土産に買ってきた日本人形(大人のオモチャの店で買い求めたからくり人形)の歌声(声は ジェニファー・ジェイソン・リー)をじっと聞くマイケル、というラストの孤独の深さにうすら寒い思いがしました。。。

この映画、孤独というものをヒシヒシと感じさせる作品でしたねー。孤独を招いているのも、ある意味自分なのだ、と。とは言え、随所に散りばめられたオフビートな笑いにニヤニヤしながら観てたんですけど。

ところで、マイケルがシンシナティで宿泊したホテル、Fregoli という名前なのですが、「誰を見ても、それを特定の人物と見なしてしまう(wikiより引用)」フレゴリの錯覚という精神疾患がある、ということを映画を観た後で知りました。

14 March 2016

Gourmand holiday in northern Spain 4 | 北スペイン口福の旅 4


かーなーり間があきましたが、秋に行った北スペイン旅行記の続きです。
ビトリアで E さんと J に別れを告げたツレアイとワタクシ、レンタカーでラ・リオハ地方へと向かいました。


あいにくの雨模様でしたが、きれいに紅葉したブドウ畑を眺めながらのドライブ。
ブドウの葉って、いろんな色に紅葉するんですねぇ。

この日は世界的に活躍している建築家が設計した3つのワイナリーを巡りました。


最初に訪れたのは、Bodegas Marques De Riscal
の敷地内にあるホテル。ビルバオにあるグッゲンハイム美術館でお馴染み、フランク・ゲーリーの設計です。


ちょっとうろ覚えですが、この波打つ屋根の色は、赤ワイン、白ワイン、そして発砲ワインの色を表している、と説明に書いてあったような。


お次に向かったのは、Bodegas Ysiosビルバオ空港カンポ・ヴォランティン橋を設計したサンティアゴ・カラトラバのデザインです。



この人の設計は本当に曲線が美しいですねぇ。
この日は定休日だったらしく閉まっていた上に、雨もザンザン降っていたので、ささっと写真を撮って早々に退散。 



そして、この日最後に向かったのが Bodegas R. López de Heredia
ワイナリーの受付部分の建物をザハ・ハディドが設計しています。


この建物、元々はバルセロナの見本市でのこのワイナリーのパビリオンとして造られたそう。
ありそうでないデキャンタ型。



ワイナリーのサイトにツアーの料金の記載がなかったので、てっきり無料だと思って申し込んでいたのですが、実は30ユーロ也、でありました。
高い!とツアーをキャンセルしたのですが、おつまみ付きの試飲を勧めていただきました(これは無料)。

この日はブリオネスという村の B&B に宿泊。
ディナーは、トリップアドバイザーに載っていた2軒のレストランのうち、B&Bから近いほうへ(と言っても徒歩15分ほど)。

 
ぽつーーーーん。。。

体育館かというような広々としたレストランなのに客の姿なし。
かなり躊躇しましたが、他に選択肢もないし、ウエイターのお兄さんがフレンドリーだったので、ここで食事することに。 

秋はオフシーズンだそうで、ブリオネスのような小さな村のレストランは週末しか開いていないところが多いのだとか。
ここが開いてて良かったー。危うく食いっぱぐれるところでした。。。

こちらのお店、ワインは、村のワイナリーのものを取り揃えているそう。
暇だったせいか、色々味見して好きなの選んでいいよ、と。
でも、1本目、新しいボトルを開けたのを見た英国人と日本人のワタクシたち、別のボトルを開けてもらうのは申し訳なくて、「これにします」と(いや、美味しかったんですよ)。

これがそのワイン。確かボトルで7ユーロほど。安い!
 

料理は、ツレアイがラム肉の炭火焼き、ワタクシがバカラオの煮込み。
この煮込みがねー、うっとりと目をつぶって味わっちゃうくらい美味しかった!特に、魚のうま味と野菜のうま味が合わさったソース!1滴残らずいただきましたとも。

食後にはリキュールなんぞもサービスしていただいて、ご機嫌さんで B&B まで戻ったのでした。千鳥足でね。

Asador Los Nietos
c/Los Mesones, 30 - Briones (La Rioja)
Tel: 941 32 24 45

★★★★★


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もう一つのブログ『英国的庭仕事雑記帳』では、忙しくなってきた庭仕事について綴っています。

9 March 2016

Bite-sized Bunraku |文楽入門

写真は「NIKKEI STYLE」より拝借。


友人に誘われてジャパンファウンデーション主催の文楽公演に行ってまいりました。初文楽、です。
始まる前に夕食を食べたのですが、眠たくなったら困る。。。と警戒してアルコールを摂らなかったワタクシ。いやー、そんな心配まったく無用でした!

今回の公演は初心者向けの入門編といった趣向になっていて、2つの演目『艶姿女舞衣(はですがたおんなまいぎぬ)』と『本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)』 からそれぞれ一場面ずつ、そして演者さんたちによる文楽についての説明がありました。

この説明が楽しかった!語りを務める太夫と三味線方の方たちがどう工夫しているか、とか、人形を3人の人形遣いでどう動かすのか、とか。
人形の仕掛けを色々見せてくれたのですが、女性の人形だけ、着物の袖をきーーっと噛みしめることができるように、口元に針が仕込んであるそうな。

で、実際のお芝居なのですが、人形でここまで繊細な感情表現ができるんですねー。すっかり惹き込まれました。
さらに 『本朝廿四孝』の場面では、お姫様が諏訪神社の狐の力を借りて凍った湖を渡る、というシーンがあって、この狐に憑りつかれたお姫様が狐たちと舞い踊るんですが、その激しいこと!人形遣いさんがお姫様の人形をぶんぶん振り回しちゃって、激しい三味線の音と相まって、もうなに、ハードロック?といった感じ。

これは是非、一つの演目を通しで観てみたい。
ちょっと調べてみたところ、大阪に国立文楽劇場があって、そこで定期的に公演があるそう。
字幕があるそうで、これは嬉しい。太夫さんの語り、昔の言葉でほとんど意味がわからず、英語字幕に頼っていたので。
が、一つの演目が一部と二部に分かれていて、全部観ると長い!朝の11時から夜の9時まで。。。歌舞伎みたいですな。江戸時代の人にとっては、1日かけて楽しむ特別な娯楽だったんでしょうね~。