25 April 2016

Victoria | ヴィクトリア

Director: Sebastian Schipper
Writers: Sebastian Schipper, Olivia Neergaard-Holm, Eike Frederik Schulz
Stars: Laia Costa, Frederick Lau, Franz Rogowski, Burak Yigit, Max Mauff
2015/Germany
★★★★☆

140分間、全編ワンカットで撮影した映画らしい。
という情報だけで観に行ったのですけどね(ドイツ映画、ってことも知らなかった)。
観る前は期待半分、不安半分でありました。2時間以上ワンカットで映画として成立するのか?という好奇心と、技術的な挑戦ありきで製作者の自己満足的な作品なんじゃないの?という猜疑心と。

いやー、もうこの映画、ライブ感が半端なかったです。
編集してないので、A地点からB地点に移動する過程も全部見るわけですよ。 
まるで、登場人物と一緒に自分も夜明け前のベルリンを疾走しているかのような。
実際、観終わった後ぐったり疲れました(笑)

ストーリー自体はどうってことなくて、スペインからベルリンにやって来て間もないヴィクトリアが、クラブで4人組の若者に出会い、一緒に遊んでるうちにとんでもないことに巻き込まれて。。。と言うお話。でも、ストーリーは結構どうでもよくて、役者さんたちのキャラクターの作り込みっぷりや、彼らと一緒に動き回りながら息遣いや何気ない表情をすくい上げるカメラに目が行く感じ。

前半はヴィクトリアと男の子たちのつたない英語でのやり取りがほとんどで、正直退屈。なんだけど、ここを耐えると後半報われます。

この映画を楽しむ秘訣は、予備知識を入れずにただ身を委ねること、かも。
あ、できれば誰かと一緒に観ることをお勧めします。観終わった後、「あそこでさー」と語り合いたくなること請け合いなので。

20 April 2016

Bluebell wood | ブルーベルの森


今日は朝から晴天。
あんまり天気が良かったので、早々に仕事を切り上げて森へ散歩に出かけました。
英国に春本番の到来を告げる花、ブルーベルが丁度見頃でした~。


森の奥へ進んでいくと、辺り一面ブルーベル! 
ヒヤシンスを柔らかくしたような香りが漂う中を歩いていると、否が応にも上がる乙女度(笑)



写真を撮りながらフラフラ歩いているうちに、帰り道がわからなくなって少々焦りました(酷い方向音痴なのです)。
ウロウロしていたら見知った場所に出て一安心。
携帯を持っていなくて、一瞬「森で夜明かし」を覚悟したことをここに告白します。。。


週間予報によると、この先ずーっと曇天続きのようですが、あと1回くらいこの風景が見られるといいなぁ。

10 April 2016

Wild garlic picking | 森の恵み


先日のこと。
久しぶりに森へ散歩に出かけたんですけどね。
遊歩道に一歩足を踏み入れた途端に、ぷーーーんとニンニクの香りが。

辺りを見回してみると、遊歩道の奥にワイルド・ガーリックがわっさり生えているではありませんか!

見渡す限りワイルド・ガーリック
 
 日本のギョウジャニンニクの仲間だと思うのですが、ギョウジャニンニクが希少な山菜であるのに対して、ワイルド・ガーリックはそこら中に生えている雑草、という位置づけでしょうか。最近は春の味覚として、宅配オーガニック野菜の箱に入ってたりしますが。

この森にも遊歩道脇に生えているのは前から知っていましたが、ご近所さんたちの犬の散歩コースなだけに採取して食べるのをためらっておりました。。。でも、ここまで奥まっていれば大丈夫。早速摘んで、ペストにしてみました。


ワイルド・ガーリック、塩、オリーブ油、パルメザン・チーズ、ナッツをバーミックスでガーーーッ、と。松の実入りとカシューナッツ入りの2種類作ったのですが、風味の強いワイルド・ガーリックにはカシューナッツの方が合うような。
そのままパスタに和えるとキツ過ぎるので、ちょっと炒めてマイルドに。
ワインに合うこと、この上なし!
ただ食後2~3日、口の中がニンニク祭り状態になるのでご注意あれ(笑)

うちの庭に移植しようかなー、とも思ったのですが、徒歩30秒のところに生えてるのにわざわざ庭をニンニク臭で満たすこともないか、と思いとどまりました。

シーズンが終わる前に、是非ともギョーザを作らねば!

3 April 2016

Room | ルーム ROOM

Director: Lenny Abrahamson
Writer:Emma Donoghue (screenplay and based on the novel by)
Stars: Brie Larson, Jacob Tremblay, Joan Allen, William H. Macy, Tom McCamus
2015/Ireland = Canada
★★★★☆


エマ・ドナヒューの小説『部屋』の映画化。原作者本人が脚本を書いています。
すごーくいい映画だったのだけど、先に原作を読んじゃってたのが悔やまれます。
なんだか、原作ほどガツーーンと来なくて。。。

ジャックは5歳。マー(お母さん)と一緒に小さな部屋で暮らしている。
一緒にケーキを焼いたり、歌を歌ったり。2人で楽しく暮らしているのだけど、実はマーはオールド・ニック(と彼らが呼んでいる男)に7年前に誘拐され、以来監禁されているのだ。
脱出を決意したマーは、ある計画を思いついて。。。

と、ここからは相当なネタバレになりますので、ご注意あれ。
































この映画は監禁されている親子の手に汗握る脱出劇、ではなくて、むしろ脱出した後の方が大変なんだよ、というお話でした(脱出シーンでは手に汗握りましたが)。

必死の思いで脱出したっていうのに、マーの両親は離婚してるは、世間からは好奇の目で見られるは。。。今まで「部屋」と「マー」が世界のすべてだったジャックは、突然現れた明るくて賑やかな世界に混乱します。で、「部屋に帰ろう」っていうんですねー。マーにとっては、ただただおぞましい場所でもジャックにとっては故郷なんですよね。

でも、そんなジャックが少しずつ周りの人たちに支えられて新しい世界を発見して、そこに馴染んでいくわけです。生まれてから一度も切ったことがないと思われる髪を切ってくれたおばあちゃんに「I love you」というシーン、この映画のハイライトだと思います(書いているだけで、思い出し涙が)。

このジャックを演じたジェイコブ・トレンブレイの演技の素晴らしいこと!
特にすごいなー、と思ったのは、ジャックの仕草がどことなく女の子っぽいんですね。髪の毛も腰まであって。なんだろう、と思ってたんですけど、生まれてから母親としか接してないから仕草が母親みたいになっちゃうのかー、と。

原作はジャックの一人称で語られていたんですけど、映画では彼の子供としての視点がうまいこと映像化されていましたねー。

一方、マーは周囲の人たちとの溝を埋められなくてどんどん孤独になっちゃう。
父親がレイプで生まれたジャックをまともに見ることができなくて傷付くマー(父親の気持ちもわかるけど)。
とどめにテレビのインタビューで、「ジャックを手元に置いていたのは自分勝手だったのでは?」というようなことを言われて糸がプツンと切れちゃう。
自分で選んで監禁されてたわけじゃないのに、「部屋」で必死にジャックを守って生きてきたのに。 

そんなマーをジャックが救うんですねー。
「悪いお母さんでごめんね」
という彼女に
「でもマーはマーだよ」
と言って(うぅ、また思い出し涙が)。
わたしも飛んで行って、「こんないい子にジャックを育て上げて、あなた、立派だよ!」と肩を抱いてあげたくなりました。

マーを演じたブリー・ラーソンの演技も良かった!オスカー、激しく納得。 
特に、母親の顔と自分の両親の前での娘の顔が違っていて、そうだよね、まだ10代だったときから監禁されてたんだもんね、と。

この映画の映像を胸にもう一回原作を読んでみようかしらん。