30 November 2016

Your Name. | 君の名は。

Director: SHINKAI Makoto
Writer: SHINKAI Makoto
Stars: KAMIKI Ryunosuke, KAMISHIRAISHI Mone, NAGASAWA Masami, ICHIHARA Etsuko
2016/Japan
★★★☆☆

普段アニメはまったくと言っていいほど観ない、ワタクシ。なので、ロンドン映画祭に来たこの映画もノーマークでした。が、このたび英国で一般公開されたことと、我が故郷にほど近い飛騨市が舞台になっているというのを聞いて観に行くことに。

いやー、思ってたより、ずーっと楽しめました!
いつもの如く、以下、かなり内容に触れていますので、これから観に行く、という方はそっとウィンドウを閉じてくださいませ。。。
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さて。何の前知識もなかったので、最初の方は、よくある男女の入れ替わりコメディなのねぇ、なんて思いながら観ていたら。主人公2人の時間軸が違う、ということが分かってからのグイグイとストーリーを進める勢いがすごかった!(RADWIMPS の楽曲がすごく合ってた!)

キャラクターの絵柄はあまり好みではないのだけど、背景が素晴らしかったですねー。雨に濡れた歩道とか、紅葉の山道とか。かつて毎日通勤に使っていた名古屋駅が一瞬出てきたのですが、めちゃくちゃリアルでした!

ただ難を言うと、エンディングは無理やりハッピーエンドにもっていったような、そして若干引っ張りすぎな印象を受けました。あの村がどうなったのか、とか全部説明しちゃうより、曖昧にしておいたほうが鑑賞後に友人とあーだこーだ言い合えて楽しいのにな、と。

それにしても日本のアニメが英国で一般公開されるなんて、感無量。この勢いで、今一番観たい『この世界の片隅に』も公開されないかしらん?

28 November 2016

Modernismo in Catalonia 3 | カタルーニャ モデルニスモを巡る旅 3


サグラダ・ファミリアを堪能したワタクシ達、次に向かったのは「サン・パウ モダニズム区域」です。
2014年から一般公開されているこちら、素敵なリゾート地かと思いきや、なんと病院(サンタ・クレウ・イ・サン・パウ病院)なのです。今回お世話になった友人 J によると、わりと最近まで現役で使用されていたのですが、サン・パウ病院の移転に伴って一部の建物が一般公開されるようになったのだとか。
設計はカタルーニャ音楽堂で有名なリュイス・ドメネク・イ・ムンタネー。


チケット売場などがある事務管理分館。見事な左右対称っぷり。
まるで五つ星ホテルの入口のよう。。。


敷地内には手術棟や病棟などとして利用されていた建物が整然と並んでいます。
かつては27棟の建物が並んでいて、それぞれ地下通路で繋がっていたのだとか。
なんだか病院というより、街、ですね~。


開院は1930年。ちょっとうろ覚えなのですが、展示されていたパネルの説明によると、無料で医療を提供していたそう(貧しい人々だけ無料、だったかも)。


事務管理分館の内部。細部にまで神経の行き届いた美しい装飾が施されておりました。
 こーんな素敵な病院だったら、優雅な入院生活が送れそう。。。

サン・パウの近くにあった目玉に覆われた建物。

23 November 2016

Autumnal walk in Waldingham | 晩秋の森


少し前の話ですが。
我が家から車で10分ほどのところにある Waldingham 村の森が「紅葉の名所」だと聞いて、2回ほど散歩に行ってきました。


紅葉、といっても、英国南東部ではほとんどの葉が黄色く色づきます。そこに、ちょっぴり赤やオレンジが混ざる感じ。



ピリリと冷たい空気の中、落ち葉を踏みしめつつ。
乗馬にやって来る人が多いらしく、馬の落とし物がそこかしこに。これ、拾ってコンポスト容器に入れたら良い堆肥ができるのでは?と思ったのですが、車ラブなツレアイに激しく却下されました(笑)



紅葉(黄葉)の森、見頃は11月上旬から中旬にかけて、かな。我が家の恒例行事にしたいと思います!

21 November 2016

Modernismo in Catalonia 2 | カタルーニャ モデルニスモを巡る旅 2


モデルニスモを巡る旅、次に訪れたのは総本山サグラダ・ファミリアです!
ここは20年ほど前に友人6名(!)とやって来た思い出の場所。工事の進捗状況を探るべく、チケットを予約して臨みました。


絶賛工事中のサグラダ・ファミリアですが、2026年にとうとう完成するのだとか。
近くで英語で説明していたガイドさんによると、今現在、7割ほど出来上がっているそうで。建築開始の1882年から今までに7割で、これからの10年で3割とは計算が合わないような気もしますが(笑)。


とは言え、20年前と比べると、大分工事は進んでいるようです。このパイナップルのような塔も前回はなかったような。

外壁にカタツムリが。
 


ブロンズ製(と思われる)入口の扉と扉脇の装飾。 
これも前回なかった!

自然の営みが活き活きと表現された彫刻。
ここは人気の撮影スポットになっていて、お互い譲り合いながら激写(笑)

そして、中へ入ると。。。


ここは、どこ?森??という空間が広がっておりました。
前回訪問したとき、内部は完全に工事現場だったと記憶しているのですが、あらかた完成しているようです!

ステンドグラスの反射が美しい。。。




併設の博物館も、ガウディの設計手法や使用されている自然モチーフなどがみっちり紹介されていて見応えあり。

教会内のオフィスで働く人々。

という訳で、2026年に完成の暁には是非とも再訪したいです!

20 November 2016

I, Daniel Blake | わたしは、ダニエル・ブレイク

Director: Ken Loach
Writer: Paul Laverty
Stars: Dave Johns, Hayley Squires
2016/UK=France=Belgium
★★★★★

ケン・ローチ監督の最後の作品、と言われている『わたしは、ダニエル・ブレイク』を観に行ってきました。
今年のカンヌ映画祭でパルムドールを受賞したこの映画、主人公ダニエルが不条理なまでに複雑な福祉システムに翻弄される姿が描かれています。先日のクエスチョン・タイムで、労働党のコービン党首がメイ首相に「ご覧になってはいかがですか?」と勧めておりました。

以下、映画の内容にかなり触れております。これから観に行く、という方はそっとウィンドウを閉じてくださいませ。。。
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さて。ニューキャッスルで腕のいい大工として働いていたダニエルは、心臓発作を起こして医者から仕事に復帰することを止められます。
映画冒頭、傷病手当を受給したいダニエルと審査担当の女性の電話での会話が流れてきます。この担当者がね~、もう "ザ・お役所" で(実際は行政から依頼された企業、らしいのですが)。マニュアルどおりというか、融通が利かないというか。そんな彼女に戸惑いながらも、ユーモアで応戦するダニエル。この時点で映画館中の人が彼に声援を送っていたハズ。

傷病手当の申請が何故か「働くことができる状態にある」という理由で却下されたダニエルは、ならば、と失業手当を申請しようとします。
これがまた茨の道で、電話をかけても延々と待たされ、慇懃無礼な担当者は型通りの質問をするばかりでこちらの質問には答えてくれず、申請はオンラインでしか受け付けてもらえず。。。文字通り右往左往する(させられる)ダニエルを演じたデイブ・ジョンズは、コメディアンだそうで、追い詰められながらも、どことなくとぼけた味わいのあるダニエルを好演しておりました。あと、この人がうちのご近所さんにソックリで。そういう意味でも、一層感情移入してしまったのでした。

さて、そんなダニエルは、ひょんなことから2人の子供と一緒にロンドンから越してきたシングル・マザーのケイティと知り合います。2人は助け合いながら交流を深めてゆくのですが、映画ではこのケイティをとおして、これでもか、これでもかと「貧困」というものを見せつけてくるのです。

この映画がスゴイのは、重たいテーマを扱いながらもエンターテイメントとして成立していること。そのおかげで、作品のメッセージがすんなりと入ってきたように思います。

ところで、6月の国民投票で Brexit が決まったとき、「信じられない!」と驚きを隠せないわたしに、友人の1人(残留派)が「それは、あなたがエリート(特権階級)だからだよ」と言ったのですね。そのときは、よく意味がわからなかったのだけど、この映画を観て、少なくとも現行のシステムで生活に困窮していないわたしは、エリートかどうかはともかく、非常に幸運なのだな、と。
ダニエルやケイティのように、ほんの少し足を踏み外しただけで、救済されることなく生活が立ち行かなくなる、という立場だったら。 そりゃあ、「現状維持」を象徴する「EU 残留」じゃなくて、「現状を変えてくれ!」と抗議すべく「離脱」に投票するよなぁ。。。そんなことを思いながら、どんよりとした気持ちで映画館を後にしたのでした。。。

8 November 2016

Modernismo in Catalonia 1 | カタルーニャ モデルニスモを巡る旅 1

先週のこと。
冬時間が始まってグッと寒くなってきた英国を脱出、未だ太陽輝くバルセロナへと行って参りました。今回の主な目的は、ガウディをはじめとするモデルニスモ建築家たちの作品を見学すること、でありました。

やっかいになった友人宅からのバルセロナ旧市街の眺め。
なんだか中東の街のよう。

最初に訪れたのは、バルセロナ近郊のコロニア・グエル。


「コロニア・グエル」は 、ガウディのパトロンとしても知られるエウゼビ・グエルが、自身が経営する紡績工場で働く従業員のために1890年に造ったコロニー。当時第一線で活躍していた建築家による建物が並んでいます。


コロニーには、従業員の住居はもちろん、劇場、病院、学校、教会などがあって、小さな街のよう。言わば、生活に必要な施設がすべて揃った社宅、ですな。


インフォメでもらったパンフレットによると、エウゼビ・グエルは「従業員の社会的向上を追求し、それを文化への後援という形で還元」していたそう。日本が「あゝ野麦峠」だった頃に、カタルーニャには充実した福利厚生を受けながら働く人々がいたのですねぇ。


紡績工場の高い煙突。現在は紡績工場として稼働していないそうですが、何かの会社ではある様子でしたよ。
何故か壁に鼻がくっついた建物が。。。


最後に向かったのがコロニア・グエルのハイライト、ガウディ設計の教会(地下礼拝堂)。
本当は高い塔が建つハズだったらしいのですが、サグラダファミリアにかまけたガウディがプロジェクトを放棄(!)、建設が頓挫したそうで。。。

入口扉上のモザイク。
インフォメ2階のミュージアムに各モチーフの説明がありました。


中に入ると、思わず「うわぁーーー」と声が出ます。ガウディ・ワールド炸裂。

このステンドグラスの模様は十字架と「切り開いたパイナップルを下から見た図」を組み合わせたものだそう。
十字架とパイナップル。。。天才の発想は凡人のワタクシの想像を超えております。

教会の屋根からコロニア・グエルを臨む。
向こうに現代の労働者住宅が。

この日はインフォメでもらった地図とイヤホンガイドを片手に街中を歩き回ったのですが、オリエンテーリングみたいで楽しかった!
バルセロナ市内から行く場合は、往復の電車代・入場料・イヤホンガイドがセットになったお得なチケットあります。


バルセロナに戻って、モンジュイックの丘から夕暮れの街を眺めました。
噴水手前の4本の柱はカタルーニャの旗を表しているのだそう。「カタルーニャの旗」モチーフ、いたるところにありました。
週末の夜は噴水で「マジック・ファウンテン」なるショーが開催されます。別の日に見たのですが、かなり大がかりで一見の価値あり、でしたよー。