27 December 2016

The best pasta in town | バラ・マーケット脇のパスタ・バー


少し前にバラ・マーケットに行った帰り、長い行列ができている新しいレストランを見つけました。
なんだなんだとググッてみると、手打ちパスタをお値打ちにいただけるパスタ・バー、だそうで。
日を改めてツレアイとランチに行ってみました。

予約を取らないお店ということで、開店時間の12時に合わせて15分前に行ってみると、早くも20名ほどの方が並んでおりました。
開店と同時に入店の案内が始まったのですが、一度に注文をさばける人数だけ入れる方針らしく、無情にも我々の目の前で扉が閉じられ。。。空いている椅子が沢山あるのを眺めつつ、寒さに震えながら待つこと10数分、やっと招き入れられたのでした。

レストランの1階部分はバーになっていてカウンター席なのですが、地下にはテーブル席あり。
テーブル席に陣取った我々がオーダーしたのは、「キャラメライズした紫玉ねぎとブルーチーズのストラッチ(ペロンとした菱形のパスタ)」(ツレアイ)と「蟹、チリ、レモンのタリエリーニ」 (ワタクシ)。
オープンキッチンでは、スタッフがパスタを打っているのが見えます。

まずはパスタの完璧なアルデンテっぷりに感動!ロンドンでは、半分溶けているようなパスタに出会うことも珍しくないのです。。。
ストラッチはこってり濃厚、赤ワインが進みそうなお味。そして、ワタクシのタリエリーニが、もう!これまでロンドンで食べたパスタの中で一番美味しかった!オイルペースのソースかと思っていたらバターが使われていて、これが蟹、チリ、レモン、そしてニンニクの風味をうまいことまとめ上げておりました。一緒に頼んだプロセッコが進むこと!このパスタ、11ポンドだったのですが(今、お店のサイトで確認したら12ポンドに値上がりしておりました)、ロンドン中心部の他のレストランだったら間違いなく18ポンドくらいしそうです。
 
デザートに「塩キャラメルのアイス」をシェア。手作りと思われるアイスは、焦がし気味のキャラメルが効いていて美味しかった~(塩キャラメル感はあんまりなかったけど)。

サービスはテキパキしていて適度にフレンドリー。なにより、目配りが効いているのに好感を持ちました。

これは、また時間のある時に並んで、他のパスタも試さねば。次は前菜も試してみたいわ~。

Padella
http://padella.co/
6 Southwark Street, London SE1 1TQ
★★★★☆

25 December 2016

No Man's Land | 誰もいない国

Writer: Harold Pinter
Stars: Ian McKellen, Patrick Atewart, Owen Teale, Damien Molony
 Director: Sean Mathias
★★★★★

日本で暮らしていた頃大好きだったテレビ番組に『スジナシ』というのがありまして。
笑福亭鶴瓶とゲストの俳優が即興でお芝居をする、という番組なのですが、あるのはセットだけ。台本も打ち合わせもなく、ぶっつけ本番で演じなければならないのです。
お互い相手の出方を伺いつつ何とか辻褄を合わせようとするうちに、話がどんどんシュールな方向に行ってしまって。。。というのが楽しくて、毎週欠かさず観ていたのでした。

先日、ピンター作の『誰もいない国』を観に行って、この『スジナシ』のことを思い出したんですねー。
舞台はハムステッドのとある屋敷の一室。そこで、イアン・マッケラン演じるスプーナーとパトリック・スチュワート演じるハーストの会話が始まるのですが、 観客には二人の関係がまったく見えない。二人は知り合い?それとも??会話の内容もあっちへ飛びこっちへ飛びで、あたかも限られた条件の中で即興芝居をしているような。そこへフォスターとブリッグスという、これまた「あなた達、誰?」なキャラクターがやって来て、話が余計ややこしくなって行きます。

第一幕はスプーナーとハーストの腹の探り合い、という感じで、第二幕は「どちらが相手により精神的ダメージを与えることができるか」というマウント合戦の様相を呈しておりました。学生時代の憧れの女性と実は僕、付き合ってたんだよね~、とか言ったりして。

友人は「ハーストが認知症を患っていて、スプーナーがそれに合わせてるんじゃないか」と言っておりました。その解釈ありかも、と思ったのですが、スプーナーの胡散臭さ(スーツに汚れたテニスシューズ合わせてたり、人がいなくなると部屋中嗅ぎまわったり)を考えると、そういうハートウォーミング路線はなしかな、とも思ったり。

場面転換なしで、登場人物がひたすら喋りまくるこのお芝居、おそらくワタクシが理解できたのは6割ほど。時に、周りの人は笑ってるのに自分は置いてけぼり状態に陥りつつも、最後まで集中力が切れることはありませんでした。名優2人の競演を見られて大満足♪

4 December 2016

Giselle/English National Ballet | ジゼル/イングリッシュ・ナショナル・バレエ

Direction & Choreography: Akram Khan
Visual and Costume Design: Tim Yip
Music, after the original score by Adolphe Adam: Vincenzo Lamagna
Lighting Design: Mark Henderson
Dancers: Madison Keesler, Aitor Arrieta, Ken Saruhashi, Isabelle Brouwers
★★★☆☆

少し前の話ですが。
アクラム・カーン振付の『ジゼル』を観に行ってきました。
クラシック・バレエはほとんど観ない、ワタクシ。事前に粗筋をチェックして、YouTube でボリショイ・バレエの『ジゼル』を観て予習。
それにしても『ジゼル』ってロマンチックな感じだけど、これまでのカーン氏の作風と合わないような、と思っていたら、ストーリーが大幅に変更されておりました。

ジゼルは、縫製工場で働く移民労働者、になっておりまして。工場の閉鎖によって、職を失った労働者たちは巨大な壁によって閉じ込められてしまいます。ジゼルに恋するヒラリオンは、彼女の恋人アルブレヒトが実は工場の経営側の令嬢と婚約していることを暴露。ジゼルは狂死します。ここまでが第一幕で第二幕では、亡くなった工場労働者の亡霊(ウィリ)たちがミルタに率いられて、ヒラリオンやアルブレヒトに復讐を果たそうとします。。。この物語の背景には、バングラデッシュで頻発する縫製工場の倒壊や火災があるのでしょうね。

という訳で、すっかり土臭くなったジゼル、カーン氏の振付がピタリとはまっておりました。特に労働者やウィリの群舞は、鬱屈したパワーのようなものが感じられて鳥肌が立ちました。
音楽も、オリジナルの音楽を基にしているそうですが、打楽器を多用したカタックのような音楽になっていて、個人的には、むしろこっち音楽の方が好き。

舞台中央の巨大な壁が、さまざまな分断を象徴していて効果的でしたねぇ。
あと、衣装も良かった。労働者たちのミニマルな衣装とブルジョア階級の人々のやり過ぎ感満載の華美な衣装の対比が際立っていて。

ただ、これはワタクシがクラシック・バレエを見慣れていないからだと思うのですが、ところどころで展開が遅いように感じられたんですよね~。とは言え、機会があればもう1回観てみたい!

3 December 2016

Super yummy Thai food followed by a piece of Japanese cake | 絶品タイ料理と日本のケーキ

先日、張り切って観に行った日本映画にがっかりした友人とワタクシ。
でも、その前に友人にとっても美味しいレストランに連れて行ってもらっていたので、心穏やかに家路につくことができたのです。
  

それがこちらの KILN (陶磁器などを焼く「窯」の意)。バーベキューがメインのタイ料理屋さんです。料理は、ミャンマーや中国雲南省の影響を受けた北部の料理が中心で、あと、バンコクのチャイナタウンで見られる料理がチラホラ、だそう。

小ぢんまりとした店内はオープン・キッチンをカウンターが囲む形になっています。この部分はウォークインのみ。地下にダイニング・ルームがあって、4名以上のグループの予約を取っているそう。


そして、我々が通されたのがこちらの特等席!まだ新しいお店なのに、すっかり使い込まれた感のある調理場ときびきび働くシェフのみなさんを眺めながらの食事でした。

タイ料理屋に行っておいてなんですが、ワタクシ、唐辛子の辛味が苦手でして。ウェイターさんに何度も「あんまり辛くしないで」と念押しして、「君たちの注文した料理に辛いのないから大丈夫」と苦笑されたのでした。


さて、今回注文したのは「土鍋で調理した春雨 豚バラと蟹ミソ(写真上)」、「熟成羊肉の串焼き クミン風味(写真下)、「アカザエビ、コブミカンの葉、ミントのサラダ」、「青菜炒め」の4品にライス。
どれも美味しかったのですが、特に 「土鍋で調理した春雨 豚バラと蟹ミソ(写真上)」と「アカザエビ、コブミカンの葉、ミントのサラダ」が出色、でありました。
「土鍋で調理した春雨 豚バラと蟹ミソ(写真上)」は見た目地味なのですが、よーくかき混ぜると底から豚バラと白菜(だったか?)がごっそりと出てきます。甘辛い味付けに蟹ミソが絡んでかなり濃厚なのですが、添えられている甘じょっば酸っぱ辛いタレをかけると、アーラ不思議、さっぱりと頂けます。
「アカザエビ、コブミカンの葉、ミントのサラダ」は、エビが生だったのですが、甘みがあって美味!ペルー料理のセビーチェのような一皿。
ポーションは日本人女子には丁度良い感じでしたが、こちらの人には少なくて、割高感があるかも。

難点は、座席がやたら高いスツールで足が宙ぶらりんになること。ゆっくり食事を楽しむ、という感じではなく、これは、回転率を上げたい店側の作戦か?(笑)

次は4名以上で行って、もっとあれこれ試してみたい!

KILN
http://www.kilnsoho.com/
58 Brewer Street London W1F 9TL
★★★★☆


上機嫌で食事を終えたワタクシ達、デザートをいただくべく、最近できた日本風のケーキが食べられるお店へ。


ソーホーの路地にある小ぢんまりとした、こちらのお店。
ケーキと一緒に日本茶を楽しむことができます。
ミルクレープが一押しのようですが、他にも繊細なケーキたちがショーケースに並んでおりました。


こちらで頂いたのは、友人が「バニラクリームのミルクレープ」、わたしが「抹茶のティラミス」。ケーキのお供は2人とも蕎麦茶で。
「抹茶のティラミス」は、ティラミス感はあまりなかったのですが、ふわふわの抹茶スポンジと軽やかなクリームが美味!うぅっ、ロンドンでこんなケーキが食べられるようになったなんて(しかも蕎麦茶と一緒に!)、嬉しすぎる。

この日、お店にいたスタッフは、みなさん台湾の方とお見受けしました。とってもフレンドリーで、居心地よかったです。なんと、日本でよく見る、お客さんのカバンなどを入れるバスケットもありましたよ。


お店の住所をそのまま日本語にした刺繍がエプロンに。
英国の若者に人気の服飾ブランド「Superdry. 極度乾燥(しなさい)」 を彷彿とさせますな。

ケーキが結構なお値段なのですが、お店の立地を考えると致し方ないかも。
是非とも末永く頑張っていただきたいです!

Kova Japanese Patissery
http://www.kovapatisserie.com
9 - 12 St Anne's Court London W1F 0BB
★★★★☆

1 December 2016

Creepy | クリーピー 偽りの隣人

Director: KUROSAWA Kiyoshi
Writer: KUROSAWA Kiyoshi, MAEKAWA Yutaka (based on the novel by)
Stars: NISHIJIMA Hidetoshi, TAKEUCHI Yuko, KAWAGUCHI Haruna, HIGASHIDE Masahiro, KAGAWA Teruyuki
2016/Japan
★★☆☆☆

この映画、ロンドン映画祭に来ていたのですが、チケット代が驚愕の16ポンド(約2240円)で、観に行くのを断念したのです。が、このたび英国で一般公開されまして、映画祭で涙をのんだ友人と一緒に張り切って観に行ってきました。ちなみに、チケットが安くなる平日に行ったので、チケット代は6ポンドでございました。

もうねー、この映画、「ザ・香川照之ショー」でありましたよ。文字通りクリーピーな男を嬉々として演じる香川照之の独壇場。なんだけど、逆に、それだけ、という印象だったんですよね~。
以下、かなり内容に触れてますので、これからご覧になる方はそっとウィンドウを閉じてくださいませ。。。
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さて。原作を読んでいないので、元々どういう話なのか分からないのですが。。。元刑事で犯罪心理学者の高倉(西島英俊)は、元同僚の刑事から6年前に起きた未解決の一家失踪事件の分析を頼まれます。
高倉は妻の康子(竹内結子)と一緒に最近引っ越したばかり。隣人の西野(香川照之)は、その言動がなにやら怪しげで。。。

と、出だしは面白かったのですが、なんだか辻褄の合わない部分がポロポロ出てきて。結局、西野は適当な家を見つけると、そこに居座って怪しげな薬(覚せい剤?)で家族をコントロールしつつ、その家の主のふりをして暮らすサイコパスだったのですが、見るからに怪しい西野に康子がやたら接近したりとか。6年前の失踪事件にも西野が関わっていたのでは、となるのですが、その辺りが曖昧なままだったりとか。危険な西野宅に刑事が1人ずつ、応援を呼ばずに入って行って殺されたりとか。なにより、結局、西野は誰なの、というのも謎のままで。

なんというか、もう少し夫婦の心の機微とか、事件の背景にある心理なんかが描かれてると良かったのにな。 あるいは、お化け屋敷的な「怖い~!」っていうのを楽しむための映画だったのかしらん?

黒沢清監督、心理的にグイグイ来る『CURE』や『トウキョウソナタ』は面白かったんだけどなぁ。