25 December 2016

No Man's Land | 誰もいない国

Writer: Harold Pinter
Stars: Ian McKellen, Patrick Atewart, Owen Teale, Damien Molony
 Director: Sean Mathias
★★★★★

日本で暮らしていた頃大好きだったテレビ番組に『スジナシ』というのがありまして。
笑福亭鶴瓶とゲストの俳優が即興でお芝居をする、という番組なのですが、あるのはセットだけ。台本も打ち合わせもなく、ぶっつけ本番で演じなければならないのです。
お互い相手の出方を伺いつつ何とか辻褄を合わせようとするうちに、話がどんどんシュールな方向に行ってしまって。。。というのが楽しくて、毎週欠かさず観ていたのでした。

先日、ピンター作の『誰もいない国』を観に行って、この『スジナシ』のことを思い出したんですねー。
舞台はハムステッドのとある屋敷の一室。そこで、イアン・マッケラン演じるスプーナーとパトリック・スチュワート演じるハーストの会話が始まるのですが、 観客には二人の関係がまったく見えない。二人は知り合い?それとも??会話の内容もあっちへ飛びこっちへ飛びで、あたかも限られた条件の中で即興芝居をしているような。そこへフォスターとブリッグスという、これまた「あなた達、誰?」なキャラクターがやって来て、話が余計ややこしくなって行きます。

第一幕はスプーナーとハーストの腹の探り合い、という感じで、第二幕は「どちらが相手により精神的ダメージを与えることができるか」というマウント合戦の様相を呈しておりました。学生時代の憧れの女性と実は僕、付き合ってたんだよね~、とか言ったりして。

友人は「ハーストが認知症を患っていて、スプーナーがそれに合わせてるんじゃないか」と言っておりました。その解釈ありかも、と思ったのですが、スプーナーの胡散臭さ(スーツに汚れたテニスシューズ合わせてたり、人がいなくなると部屋中嗅ぎまわったり)を考えると、そういうハートウォーミング路線はなしかな、とも思ったり。

場面転換なしで、登場人物がひたすら喋りまくるこのお芝居、おそらくワタクシが理解できたのは6割ほど。時に、周りの人は笑ってるのに自分は置いてけぼり状態に陥りつつも、最後まで集中力が切れることはありませんでした。名優2人の競演を見られて大満足♪

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