21 January 2017

Paterson | パターソン

Director: Jim Jarmusch
Writer: Jim Jarmusch
Stars: Adam Driver, Golshifteh Farahani, NAGASE Masatoshi, Nellie
2016/US=Germany=France
 ★★★★☆

ジム・ジャームッシュ監督の新作『パターソン』 。すでに観てから1カ月近く経ってしまいましたが、忘れないうちに感想をば。

主人公のパターソンは、ニュージャージー州のパターソンという街で(ややこしい!)妻のローラ、犬のマーヴィンと一緒に暮らしています。
バスの運転手をしているパターソン、朝出勤して滝の前でランチを食べて夕食後に犬の散歩のついでに行きつけのバーでビールを一杯飲んで、と淡々と日課をこなす日々を過ごしています。
そんな彼は詩人でもあって、ふと浮かんだ詩をノートに書きつけるのですが、ぷくぷくと泡のように出てくる言葉を紡いでいく様子がよかった!それこそ詩的で。

一方、妻のローラはほとんど家から出ないのだけど、常に新しいプロジェクトに取り組んでいて、やたらと変化に富んだ生活を送っています。このローラを演じていた Golshifteh Farahani、どこかで見たことあるなぁと思ったら、以前観たイラン映画『彼女が消えた浜辺』で少々イラつく主人公を演じていた女優さんでした!

この映画の最大の魅力は、パターソンと彼の周りにいる「一見まともなんだけどすこーしだけズレてる人々」とのゆるーい会話。ジャームッシュ節、健在です。

久々に永瀬正敏さんの姿を見られたのも嬉しかった!アジのあるおじさんを演じておりました。

そして最優秀俳優賞は、犬のマーヴィンに捧げたいと思います。

18 January 2017

Endless Poetry (Poesía sin fin) | エンドレス・ポエトリー

Director: Alejandro Jodorowsky
Writer: Alejandro Jodorowsky
Stars: Adan Jodorowsky, Brontis Jodorowsky, Leandro Taub, Pamela Flores
2016/Chile=Japan=France=UK
 ★★★★☆

チリのマルチアーティスト、アレハンドロ・ホドロフスキー監督の新作映画を観に行ってきました。
と言っても、彼のことは存じ上げておらず、映画館でたまたま目にした予告編が楽しそうだった、というのが観に行った動機なのですが。

映画はどうやらホドロフスキー氏の自伝らしく、思春期から青年となってパリに移住するまで、サンティアゴで個性溢れる芸術家仲間と過ごした日々が綴られています。

もうねー、この映画の何もかもが好き。
現実と虚構が入り混じったようになっていて、一緒に観に行った友人が言っていたように「まるで詩の世界を映像化したよう」でありました。
あと、アレハンドロ少年の子供部屋のインテリアがストライクゾーンど真ん中。
細かいエピソードを積み重ねていくのですが、それぞれに予期せぬオチが付いていて「おぉ、そうくるか!」などと思っているうちにあっという間に映画が終わっちゃって。後で上映時間が2時間と知ってビックリでした。
小人症の人々やら非常に体格の良い女性やらサーカスやら出てくるあたり、ちょっとフェリーニの映画を思わせますな。

ちなみに、主人公のアレハンドロを演じた Adan Jodorowsky とその父親を演じた Brontis Jodorowskyは、ともにホドロフスキー氏の息子だそう。

この映画には、前日譚となる『リアリティのダンス』という映画があるそうで。こちらも是非観てみたい!

14 January 2017

White morning | 雪の朝


昨日のこと。
前日の夕方から降り始めた雪で、朝起きたら一面銀世界になっておりました。こんなにまとまった雪が降ったのは、今の家に越して来てから初めて!


という訳で、朝食の後、森へ散歩に出かけました。




いつも通る小道。雪の重みで枝がしなって獣道のようになっておりました。
我が家の庭の灌木も雪に押しつぶされ気味になっていて、大慌てで払い落としました。雪国で雪吊や雪囲いが必要な理由がよーっく分かりました。


散歩の後、冷え切った身体を緑茶で温めたのでした(こういうときには、コーヒーや紅茶より緑茶がしっくりきますな。炬燵があれば言うことなし)。

13 January 2017

Silence | 沈黙 - サイレンス -

Director: Martin Scorsese
Writer: Jay Cocks, Martin Scorsese, ENDO Shusaku (based on the novel by)
Stars: Andrew Garfield, Adam Driver, Liam Neeson,KUBOZUKA Yosuke, ASANO Tadanobu, Issei Ogata
2016/Mexico=Taiwan=USA
★★★☆☆

原作ものの映画で、「原作を先に読むか、映画を先に観るか」 というのは意見の分かれるところ。ワタクシの場合、原作を先に読むと、頭の中に「俺バージョン」ができちゃって映画にガッカリすることが多いので、大抵、映画を先に観るようにしています。

が。マーティン・スコセッシ監督が遠藤周作の『沈黙』を映画化したと聞いたとき、宗教に詳しくなければ信仰心も持ち合わせていないワタクシに理解できるのか?と心配になって、先に原作を読んでおくことにしたのです。

準備万端で映画館に向かったのですが、なんと言うか、観ている間中ずーっと原作のダイジェスト版、という感が拭えず。160分という長尺だったのですけど。主人公の内面の動きで進んで行く物語を映像化する、ということの限界か?

とは言え、その映像美には目を見張るものがありました。恐ろしいシーンでさえ、なんとも美しくて。
日本が舞台のシーンは台湾で撮影したそうですが、長崎の漁村や市中の様子が見事に再現されておりました。 

日本から出演した俳優陣、良い仕事してましたねぇ。
浅野忠信を楽しみにしていたのですが、「いつ出てくるんだろう?」と思っている間に映画が終わっちゃって。エンドロールで、ずっと新井浩文だと思ってた人が浅野忠信だった、と判明したのでした(とほほ)。
あと、鍵となるキチジロー役を演じた窪塚洋介くん。恐らく原作を読んでなかったら称賛ものの演技だったのですが、ワタクシの中のキチジロー像とあまりにもかけ離れていて。。。男前すぎる上に、目力が強すぎる!もう少し目つきに小狡さがあると良かったかなぁ。
個人的には久しぶりにイッセー尾形の姿を見られたことが嬉しかった!重苦しい映画に、ほんのり笑いを添えておりました。

7 January 2017

Banksy spotting | バンクシーを探せ!

Graffiti Area, Cargo on Rivington Street

年明け早々に友人 K さんが日本からやって来ました。
6年ぶりの再会を果たした後、バンクシーをこよなく愛する彼女と一緒に「ロンドン バンクシー巡り」へゴー。コチラコチラのサイトを参考に、ロンドン中をウロウロと。これが、宝探しのようでとっても楽しかったのですよ!

Rat, Tooley Street
初期の作品だそう。

まず向かったのは、ロンドン・ブリッジ。橋の下を通る路地に小さなネズミのグラフィティが。
バンクシーのグラフィティは消えたり、上書きされたり(!)しているものが多いそうで、そのぶん見つけた時の喜びは格別です。

幸先の良いスタートを切った我々、この後、ショーディッチに移動しました。


ヒップスターの街、ショーディッチ。バンクシー以外にも見応えのあるグラフィティが盛りだくさん。


壁の上の方や下の方にも色々いて楽し~♪
ショーディッチで壁をジロジロ眺めながらフラフラ移動する東洋人2人組を見かけた貴方、それはきっとワタクシ達です。


Guard Dog & His Masters Voice, Cargo on Rivington Street

Cargo というクラブ兼ビアガーデンの中庭には、バンクシーの作品が2点もありました!(この犬と一番上の写真)


こちらも Cargo の中庭。ちょっと浮世絵の影響が感じられる?夏にここでビール飲んだら、気持ちよさそう。


ショーディッチを堪能した後は、イズリントンのエセックス・ロードへ。

Very Little Helps, Essex Road

その昔、毎日のようにこの道をバスで通っていたので、今回見たグラフィティの中で唯一これは前に見たことあり。と言いつつ、場所を勘違いしていて思いっ切り通り過ぎたのですが(笑)保護されているものの、記憶の中の作品より大分劣化が進んでいます。

Falling Shopper, Bruton Lane

最後はメイフェアに移動。
移動している間に日がとっぷりと暮れてしまって、見えるかなぁ?と心配していたのですが、見えました!
素晴らしい保存状態。ただ、ビルが使われていない感じで、建築現場風の塀で囲まれているのが気になります。

この後、近くのパブで休憩。ツアーの成果を祝って乾杯したのでした。
いつか巡ってみたいと思っていたバンクシーのグラフィティ。ただ、ロンドンに住んでいるとなかなか腰が上がらないんですよね~。実際に巡ってみると、普段通らないような道を歩いたりして、新しい発見もありました。本当、今回は良い機会を与えていただきました!