12 July 2017

In This Corner of The World | この世界の片隅に

Director: KATABUCHI Sunao
Writers: KATABUCHI Sunao, KONO Fumiyo (manga)
Stars: Non, HOSOYA Yoshimasa, OMI Minori, INABA Natsuki, USHIYAMA Shigeru, SHINTANI Mayumi
2016/Japan
★★★★☆

こうの史代原作の『この世界の片隅に』。映画化のニュースを見た時から、観たいよ~と思っていたところ、なーんと英国で一般公開されました!早速、喜び勇んで観に行ってきましたよ。

いや~、原作に忠実なのだけど、アニメーションにしかできないことも盛り込まれていて、こう来ましたか、と。そして、主人公すずの声を演じたのん!イメージにぴったり!1 つだけ難を言えば、編集のリズムが若干ぎこちなくて、慣れるのに少し時間がかかりました。まぁ、これはワタクシの主観だし、何かの意図があって、ああいうふうだったのかな、とも思いますが。

というわけで、以下かなり内容に触れますので、これからご覧になる方はそっとウィンドウを閉じてくださいませ…。
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さて。主人公のすずは自他ともに認めるボンヤリさんで、絵を描くことが大好き。映画はそんな彼女が広島市で過ごした子供時代、 そして18歳で周作と結婚して移り住んだ呉市での生活を描いています。結婚の数年前に戦争が始まっていて、だけど、それはあくまでも遠い出来事でしかなくて、すずは家族と一緒に日常生活を送るわけです。だけど、だんだんモノが手に入らなくなって、毎日の食事にも事欠くようになっていって…この真綿で締めるようにじわじわと戦争の影響が来る感じ、中島京子の小説『小さいおうち』を思わせます。

やがて軍港だった呉は、連日連夜空襲を受けるように。この空襲のシーン、これまで見たどの戦争映画よりも恐ろしかったです。すずたちの暮らしぶりや街の様子がすごく丁寧に描かれていて、あたかも自分もその一部になったかのようだったからでしょうか。配給を受け取りに通った道、野草を摘んだ畦道、そこに容赦なく降り注ぐ爆弾の雨…(涙)

そして、すずは絵を描くための右手を失い、可愛がっていた姪の晴美を亡くしてしまいます。流されるようにぼーっと生きてきた彼女が、否応なしに自分の存在価値について考えざるを得なくなって。そして迎えた終戦で、怒りとやるせなさが爆発するのです。

すずも周りの人も政治や世の中の動きにさほど関心がなくて、その時々を懸命に生きている人たちで。そうやって暮らしていけたらいいのだけど、そんな訳にもいかんのじゃないか、ということを強く思いました。気が付いたら戦争が始まってて二進も三進もいかなくなってた、なんてのはイカんのじゃないか、と。ちゃんと見張ってないと、と。

ところで、この映画、「戦争もの」であると同時に「恋愛もの」としても秀逸でありました。当時の恋愛観が今と違い過ぎて「え?」という部分もありますが、お互いをほとんど知らないまま結婚したすずと周作が夫婦になっていく過程がね~、いいんですよ。お気に入りは、空襲を避けるためにとっさに身を伏せた用水路で、弾丸がバリバリいう中 2 人が言い争うシーン。 今かーい、っていう(笑)

あと、コトリンゴがほんわかと切なく歌う主題歌が良かった!只今脳内でヘビロテ中。

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